再生医療

再生医療の問題点

再生医療の主力に位置づけられている細胞にはips細胞の他にもES細胞があります。ES細胞とは生体を構成する全ての組織に分化する能力をもった細胞のことです。受精卵が分裂を繰り返すのはこのES細胞の働きによるものです。

したがってES細胞は全ての組織や器官に変化する可能性があるもののその前段階の未熟な細胞であると言えます。ES細胞は別の胚に混入して培養することで生体のあらゆる組織や器官を人為的に作り出すことを可能にします。技術的な問題さえクリアできれば移植に必要な臓器をES細胞から作り出し、臓器移植を行うことが可能なのです。

1998年11月にアメリカのトムソン博士はヒトのES細胞の培養に世界で初めて成功しました。しかし、ES細胞からクローンを作ることでクローン生物を作ることに転用される可能性もあるため倫理的な問題が議論されました。映画「アイランド」で描かれていたように臓器移植の為にクローン人間を作り出すことが現実味を帯び始めてしまったのです。

日本ではES細胞の倫理的問題を議論するヒト胚研究小委員会を設立し、行き過ぎた研究に歯止めを掛けるガイドラインを作成しています。また国際的にもES細胞を用いたクローン技術のヒトへの転用は禁止の方向に向かっています。

このES細胞の問題点を解決すべく登場したのがips細胞ですが、ips細胞にも問題点が無いわけではありません。ips細胞もまた様々な細胞へと分化させることが可能ですが、その万能性ゆえに不安定な細胞を作り出すことも多く、不安定な組成のままips細胞を用いて作り出した組織細胞を移植することでがんへと移行してしまう可能性があるのです。またコスト面の問題も無視できない問題でしょう。